拡張現実感は、現実の風景や空間にCG、文字、画像、3次元モデルなどの情報を重ねて見せる技術である。現実とは別の仮想空間へ入るバーチャルリアリティとは異なり、現実世界を基準にして情報を追加する点が特徴である。スマートフォンのカメラ映像に案内表示を出したり、現実の机の上に仮想物体を表示したりする例がわかりやすい。
拡張現実感では、現実の映像や位置情報を入力として受け取り、そこに仮想的な情報を正しい位置関係で重ねる。重要なのは、CGをただ画面に貼ることではなく、カメラの向き、対象物の位置、画面上の見え方を合わせることである。位置合わせがずれると、仮想物体が現実空間から浮いて見えたり、動きに遅れて違和感が出たりする。カメラセンサ装置や3次元形状計測装置、画像認識、トラッキングなどと組み合わされることが多い。
CG制作では、現実映像と仮想物体を自然に重ねるため、モデルの大きさ、光の向き、影、カメラの画角を合わせる必要がある。プロジェクションマッピングや空間型拡張現実感と同じく、現実の空間を無視せず、現実側の制約に合わせてCGを配置する考え方が重要になる。
ゲーム開発では、現実の場所をゲームフィールドにしたり、カメラ映像上にキャラクターやUIを表示したりする応用がある。プレイヤーの移動や端末の向きが表示に直接影響するため、普通の画面固定型ゲームよりも入力、認識、描画の同期が重要になる。
スマートフォンARでは、カメラ映像を背景にし、認識した平面やマーカーに合わせて3Dモデルを配置する。実装では、現実空間の座標とCG空間の座標を対応させ、仮想物体が床や机の上にあるように見せる。
検定では、拡張現実感をバーチャルリアリティと混同しないことが重要である。VRは仮想空間を主に体験する技術、ARは現実世界に情報を重ねる技術として整理する。空間型拡張現実感はARの一種として、投影によって現実空間へ情報を重ねるものと考える。